激しい応酬を繰り広げたバイデン政権初の米中会談は19日に幕を閉じました。中共はその後、軍部や機密情報を扱う国有企業の関係者に対して、米電気自動車(EV)大手テスラの車両の使用を制限するよう指示しました。コンサルティング会社のユーラシア‧グループ(Eurasia Group)イアン‧ブレマー社長は、「このタイミングは、間違いなく米中会談に関係している」と指摘しています。また、今回の使用制限措置は、米中会談において、米国への圧力を強め、バイデン政権を威嚇し最大限の利益を得ることを目的とする楊潔篪(よう‧けつち)の「戦狼外交」と軌を一つにした行動であるとの見方もあります。
中共はこのほど、テスラの車両に搭載したカメラを通じて収集した安全保障に関する情報が、米国政府に転送される可能性があるとして、政府機関や軍事施設、機密情報を扱う国有企業の職員によるテスラ車の使用を制限するよう通達しました。
中国問題専門家 ジョナサン‧ワード(2021.03.22)
米中関係は元に戻らないという共通意識の中で長期的な機会と見なして投資するのは賢明ではないと思われる。彼ら(米国企業)は他の市場を見つける必要がある。そこに拘束されて企業の技術やノウハウを我々の主要な敵に譲渡してほしくないのだ。
海外メディアは、中共は政治的な理由で外国企業に狙いを定めたと指摘しています。テスラ社にとって、中国市場は米国に次ぐ最大の市場で、2020年の販売台数は13万台を突破し、さらに現地では土地、税金、融資の優遇を受けています。
中共は近年、新エネルギー車産業を大々的に推し進めており、昨年11月2日に発表した「新エネルギー車産業発展計画」では、2025年までに国内の新車販売台数に占める新エネルギー車の割合を20%前後に高める目標を打ち出しました。このことからも、中共がテスラを中国市場に誘致した理由が、透けて見えます。
中国問題専門家 ジョナサン‧ワード(2021.03.22)
テスラのことを見ると明らかに中国(共)の国有銀行が資金提供している
イーロン‧マスク氏は中国で多くのトラブルに遭遇するだろう。中国(共)が彼の工場に資金を提供したのには理由がある。彼の技術を使って、自国のチャンピオンを育成したいのだ。中国(共)の自動車産業政策においてEVが主要なターゲットであることはよく知られている。テスラのような甘い認識でそこに留まることは大きな問題になると思う。他の業界や会社も同じことをしている。
一方、テスラの誘致は、中国の既存の新エネルギー産業チェーンへの支えとなり、テスラの中国での販売台数急増は、中国の国産車を後押しすることになるとの分析も多く見られました。しかし、テスラと中共の束の間のハネムーン期は終わりを迎え、韓国メディアは「中共の新しい助成金政策は、テスラの競争力を徐々に弱める可能性が高い」と報じました。テスラ社の中国市場での行く末は、今後も注目されます。
転載 NTDTVJP
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