辛い気持ちで、ほとんど這うようにして仏堂を出たウェンシーの絶望感は、筆舌に尽くしがたいものだった。部屋の中で大声で泣きわめき、絶えず心の中で思った。「ここにいても苦しみに苦しみを重…
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伝統修煉
チベットの光 (36) 師母のルビー【伝統文化】
ウェンシーが工事を再開してからしばらくすると、ウェイチャンからまた信徒がきて師父を供養し灌頂をもとめた。 師母は、ウェンシーが苦労して工事に明け暮れても金がないため灌頂を受けられ…
もっと見る >チベットの光 (35) 師父の怒号【伝統文化】
ウェンシーは小さい頃から母親の話を聞くと、それがどんなものであれよく従ってきた。今では師母が実の母親のようになっていたので、それを毛頭疑う余地もなく、小さい頃から嘘をいったためしも…
もっと見る >チベットの光(34)師母のはからい【伝統文化】
師父は、ウェンシーが自分の言ったことに一切恨み言も言わず、黙々と謹厳実直にやり抜くのを見て、内心驚きを禁じ得なかった。「この怪力君は、まことに不撓不屈で、行い難きを行い、忍び難き…
もっと見る >チベットの光(33) 砂を入れるポケット【伝統文化】
師母はウェンシーの背中の創口を見ると忍びなく、実際心が痛んだので、すぐに「このことは師父に報告します」と言うなり、師父を探しに行った。 「ラマ!あの怪力の子は可哀そうです。長年に…
もっと見る >チベットの光 (32) 灌頂を求めてまた侮辱を受ける【伝統文化】
このとき、リタ地方からまた大灌頂を受けに師父のもとへ人がやってきた。 「今度の灌頂は、あなたもきっと受けられるわよ」。師母がウェンシーに言って、供養するための品々を渡した。彼は嬉…
もっと見る >チベットの光 (31) 受けられない灌頂【伝統文化】
ウェンシーが堡塁を七層まで建て終えた時、ある施主がマルバに灌頂を願い出てきたので、その儀式を執り行うこととなった。師母は心の中で思った。「この怪力君は一心に法を求めている。この灌頂…
もっと見る >チベットの光 (30) 大きな堡塁【伝統文化】
ウェンシーがこの大きな堡塁の基礎を築くにあたって、師父の弟子が三人手伝いにやってきた。彼らは協力して大きな石を山の麓から山頂まで運んでくれたので、ウェンシーはこれらを建築の基盤にし…
もっと見る >チベットの光 (29) 十階建ての僧坊【伝統文化】
「師父…」ウェンシーはこの二文字を言おうとしたが、すぐに呑み込んだ。彼は本来、背中の傷を師父に見せたかったのだが、思いを馳せれば師父に罵られた事ばかりが想起され、やるかたなく一切の…
もっと見る >チベットの光 (28) 風水のよくない建物【伝統文化】
時間が経つにつれて、ウェンシーは建物全体を壊し終え、木材と石材全部を山の下へと運んだ。すべての工程を終えると、師父はウェンシーを北の山の山頂へと連れて行った。「怪力君、この前は、わ…
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