三国志に登場する天下人・曹操(そうそう)。当時の歴史をドラマチックに描いた「三国志演義」の影響から、冷酷で計算高い人物とされていますが、実は部下からの信頼が厚く、適材適所で人を重用した名将でした。
彼の心の広さを物語るエピソードをご紹介します。
漢朝末期、曹操は当時の有力者・袁紹(えんしょう)を破り、勢力を拡大していた。
ある日、曹操軍が袁紹から奪い取った戦利品を調べていると、複数の手紙が見つかった。それは曹操から寝返って、袁紹の側につくという背信の手紙で、明らかに曹操の部下たちが書いたものだった。護衛の一人がすぐに手紙を曹操に渡した。
曹操は中身を見ずに、すぐに燃やすよう命じた。
護衛は曹操に聞いた。「なぜ手紙を読まれないのですか?裏切り者は処罰いたしましょう」
曹操は答えた。「戦っていた時、袁紹は大軍を率いており、私にも勝てるかどうか分からなかった。こんな私のために、部下全員が完璧に忠実になることなどあろうはずがない」
それを聞いた周りの者たちは、曹操の寛大な処置に心を動かされたという。
(翻訳編集・郭丹丹)