英国の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群がインド太平洋地域に向けて5月出航し、今年中には日本に寄港する。英国国防省が26日発表した。英空母は28週間にわたる航海のなか、インドや日本、韓国、シンガポールほか40カ国以上の国々と70以上の訓練実施を予定している。
岸信夫防衛大臣は自身のツイッターで、「空母『クイーン・エリザベス』を中心とする英空母打撃群の日本寄港を歓迎いたします。長い歴史と伝統を有する日英関係が”新たな段階”に入った象徴であり、『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』維持・強化の為、共同訓練を実施する等、英国と緊密に連携してまいります」と述べた。
ウォレス英国防相は同日、声明を発表した。国名を明言せずに、クイーン・エリザベスの派遣について「国際秩序の脅威へと立ち向かう我々の姿勢を示すものである」と述べた。
英政府は3月に安全保障や外交の中長期計画を定めた「安保・国防・外交政策統合レビュー」を発表した。中国が力を背景にしてインド太平洋地域の影響力を拡大していることに対して、地域の安全保障に関与し、プレゼンスを高めていくとの考えを打ち出した。
空母打撃群を構成する艦艇は空母の他、45型駆逐艦や23型対潜水艦フリゲート艦、アスチュート級原子力潜水艦、補給艦からなる。さらに米海軍のアーレイバーク級駆逐艦「サリバンズ」とオランダ海軍のフリゲート艦「エヴェルトセン」も、年末までに及ぶ28週間の英空母打撃群の航海を護衛する。
クイーン・エリザベスは2017年に就役した英海軍史上最大級の艦艇であり、排水量6万5千トン、全長280メートル。最大40機の戦闘機を搭載する能力を備えている。日本における具体的な訪問地点は明らかにされていないが、大型空母が停泊可能な港湾は限られているため、候補は絞られる。
軍事メディア「ディフェンス・ニュース」によると、クイーンエリザベスは地中海地域の活動では仏空母「シャルル・ド・ゴール」と共同航行を行う。他の国で英空母との訓練参加を表明しているのは、オーストラリア、カナダ、デンマーク、ギリシャ、イスラエル、インド、イタリア、日本、ニュージーランド、オマーン、韓国、トルコ、UAEなど各国海軍および空軍などだ。
英空母がアジアに来航することをめぐっては、香港などで人権弾圧を強める中国共産党政権をけん制する意味があるとされる。さらに、ドイツ、フランス、オランダなどの西欧諸国がこぞって艦船を派遣していることから、NATOを含め南シナ海などの地域的問題に各国が関心を寄せていることが伺える。
(王文亮、蘇文悦)
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