4月19日、欧州連合(EU)理事会はインド太平洋地域における協力のためのEU戦略に関する結論を採択した。中国の力の拡張により地域の緊張が高まっているなか、安全保障や経済などの側面において、協力関係の強化を目指し、安定、安全、繁栄および持続可能な開発に貢献することを掲げた。9月に戦略の具体案をとりまとめる。
EUのプレスリリースに「対中国」の内容はない。しかし、野心的に影響力を広げる中国の対処を念頭にした政策案が並ぶ。それによると、「EUの働きかけと関与はルールに基づく国際秩序や公平な競争の場のほか、貿易と投資に開かれた環境、相互主義、強靭性の強化、気候変動対策およびEUとのコネクティビティ(連結性)の促進を目指す」「EUは共通の利益の問題について、インド太平洋地域のパートナーたちと協力することを望む」としている。
EUはインド太平洋地域に対する新たなコミットメントは長期的な焦点を有し、「民主主義、人権、法の支配」を土台とすることを強調している。「海洋安全保障、悪質なサイバー活動、ディスインフォメーション、新興技術、テロおよび組織犯罪への対応を含む、安全保障と防衛」における連携を進めていき、また「新型コロナウイルス感染症がもたらした経済的・人的影響の緩和のためにも協力する」とした。
EUはこうした戦略計画表明の後、地域の問題に対して声明を発出し、コミットメントの意思を表明している。
24日には、EU報道官は南シナ海のウィットサン礁海域での大型中国船の集結について「平和と安定を脅かす行為である」と指摘した。中国は「南シナ海の平和を守る」と強調するいっぽう、力を背景にして、国際秩序の変更を伴う海洋進出を行っている。南シナ海における摩擦はすでにインド太平洋地域における安全保障上の重大な脅威となっている。
EUは「国際法(特に国連海洋法条約)に基づき、安全かつ自由で開かれた海路を支持し、地域の安全や国際的な規則を損なう一方的な行為には強く反対する」「全ての当事者は国際法に従って、平和的な手段で紛争解決をすることを主張する」との声明を発表した。EUはASEAN(東南アジア諸国連合)主導のプロセスを支持しており、全ての締結国の問題の完結に向けた努力を求めた。
インド太平洋地域における戦略的な重要性を有するミャンマーは、国軍による市民の弾圧が続いており、24日のASEAN首脳会議でミャンマーに関する5つのコンセンサスが合意された。EU外務・安全保障政策上級代表ジョセップ・ボレル(Josep Borrell)氏は「EUはASEANと共に暴力の即時停止を求め、平和的な解決に向けた、全ての当事者(連邦議会代表委員会<CRPH>や挙国一致政府<NUG>を含む)が関与する建設的な対話を開始するとのASEAN首脳会議での約束を指示する」と述べた。
また、「各関係者間の仲介を円滑化させることはASEAN特使の重要な使命であり、同特使はミャンマーの全ての関係者と真に関与できることが求められる。ASEANはまた、非常に必要とされている追加人道救援についても着手するとした」と指摘し、「全ての政治犯の即時解放を引き続き求めていく」とも述べた。
24日、ASEAN首脳会議では、国軍の弾圧が続くミャンマーについて、暴力の即時停止、当事者が建設的な対話をすること、ASEANの特使を派遣すること、援助を受け入れること、特使を受け入れることの5項目が合意された。
転載 大紀元 https://www.epochtimes.jp/p/2021/04/72187.html
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