中国の古代、舜(しゅん)というとても賢明な王様がいました。舜は幼い頃から、大変な親孝行であることで知られています。
舜の母親は、舜を産んですぐに亡くなりました。舜の父親は新しい妻をめとり、赤ん坊が生まれました。赤ん坊は、象(しょう)と名付けられました。
父親は象をとても可愛がり、舜をうとましく思うようになりました。象は父親の愛情が深いのをいいことに、兄の舜に対していつも意地悪をしていました。自分がした悪さが見つかりそうになると、舜がやったのだと親に告げ口し、舜を責めました。父と母も舜を責めましたが、舜はいつもただ黙っているだけでした。家族の態度がいくら冷たくても、舜は相変わらず孝行を尽くし、弟にも親切でした。
舜が青年になる頃、彼の親孝行は広く知られるようになっていました。天上から見ていた神々も舜の孝行に感動し、動物や鳥たちをつかわして、彼の農作業を手伝わせました。親切で働きものの舜の元にはいつも人や動物が集まるようになり、町となって栄えていきました。
舜の評判を聞いた王様は、自分の娘二人を舜に嫁がせることにしました。舜が本当に親孝行でまじめな青年かどうか、見てみたかったのです。数年後、舜に嫁いだ二人の娘はとても誠実で働きものになりました。勤勉で親切な舜の性格を認めた王様は、舜に王の位を授けることにしました。舜は王様になり、末永く国を治め、人々は平和な暮らしを送りました。
(文・郭丹丹)