国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は7日、2020年の世界人権状況を分析した報告書を発表した。報告は、中国における人権活動家の現状、新疆やチベット地域の人権、言論の自由、香港「国家安全法」、宗教と信仰の自由などについて言及し、悪化の一途をたどる共産党体制下の中国の人権問題を明らかにした。
「中国政府は自国の憲法、国際的な承諾、義務を無視し、人権活動家らを弾圧している」とアムネスティは報告書で指摘した。2020年初頭に中共ウイルス(新型コロナウイルス)に関する初期情報を公表した医者やジャーナリストを拘束し、情報封鎖のために罰したことについても触れた。
特に注目すべき点は、2020年には、中国共産党はITツールを使って、外国企業にも影響をもたらし、検閲と監視を海外に拡大させたことだという。中国企業を含む海外のIT大手企業は、中国国内の検閲規定に従って少数民族や政治動向を監視し、中国政府を批判する内容を検閲している。
2020年6月12日、米カリフォルニア拠点のオンライン会議サービス大手「Zoom」は声明で、中国政府の要求を受け、海外在住の人権活動家のアカウントを一次停止し、中国政府が「違法」だとみなす会合を停止していたことを明らかにした。
中国北京の字節跳動科技(バイトダンス)が提供する、短編ビデオ映像プラットフォーム「TikTok」もユーザーの投稿内容に審査し、海外在住のウイグル人が中国国内で行方不明になった親族を探すための投稿を削除している。同社の洩漏した内部文書によると、「敏感な政治問題」だと当局が認識している投稿、例えば「法輪功」や「六四天安門事件」などに関するビデオは検閲している。
中国共産党は同年6月30日、「国家安全維持法」を公布し、香港における言論の自由に大きな影響を与えた。アムネスティは「この法律は非常に曖昧で広範囲にわたっており、事実上何でも『国家安全保障』への脅威とみなされ、地球上の誰にでも適用される可能性がある」と酷評した。
報告によれば、中国国内の言論環境は2020年にますます悪化し、中国のIT会社はその技術力を駆使して中国共産党の人権弾圧政策に協力している。さらに、そのサービスを利用する海外ユーザーに対しても検閲を行っている。
(翻訳編集・蘇文悦)