米国は、テクノロジーの優位を生かして、対中関係でいくつかの切り札を切ることができますが、その一つが航空機です。航空専門家に話を伺いました。
緊張した米中関係に対応する上で、航空テクノロジーが切り札となり得ることを専門家が指摘し、米政府に注意を喚起しています。というのも、米国のテクノロジーなしでは中国の航空機は飛べないからです。
航空アナリスト/リチャード・アブラフィア
「現時点では航空機の組立て、つまり外装や機体骨格等の類のものを除き、中共は100%輸入に頼っている。もしくは米国や西側諸国のメーカーの協力で製造している」
アブラフィア氏は、航空機のエンジンは筋肉、電子制御装置は頭脳に当たると言います。
航空アナリス /リチャード・アブラフィア
「これら全ては基本的に西側が設計したものであり、エンジンについて言えば丸ごと米国からの輸入だ」
中国が代替品を自力で創るのは、困難だろうと同氏は言います。
航空アナリスト/リチャード・アブラフィア
「中国製エンジンの生産には何年も、そして何十億ドル(数千億円)もかかるだろう」
中共政府は、過去何十年も追いつこうと努めてきましたが、航空機の製造は簡単なことではなく、現時点では機体の骨格ならば作れます。しかし、飛行のための総合的なテクノロジーとなると話は別です。
航空アナリスト/リチャード・アブラフィア
「それはまだ全て輸入に頼るか、米国や西側諸国の設計に多く依存して製造するかだ。 つまり追いつくには思ったより時間がかかるのだ。 これまでに成し遂げた進歩も、全て大規模なプログラムを輸入したからこそできたことだ」
世界中の全てのジェット旅客機は、グローバルな体制で製造されており、一つの国が自力で航空機を製造するのは、事実上不可能だと同氏は付け加えます。
航空アナリスト/リチャード・アブラフィア
「仮にできたとしても、それが粗悪な航空機になること請け合いだ。何故なら、航空機の設計技術者は世界から最高のテクノロジーを求める必要があるからだ」
「だから仮に、中国が何十億ドル(数千億円)もかけて10年か15年後に自力で航空機を製造できたとしても、結果としてそれはきわめて粗悪な航空機になるだろう」
現時点でバイデン政権は、この切り札を手の内に持っています。それは、トランプ政権が昨年12月、60社近くの中国企業に、航空産業テクノロジーの輸出を厳しく制限する命令を発したからです。
バイデン政権が、この命令を維持するかどうかは見ものです。
転載 NTDTVJP
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