ウォール・ストリート・ジャーナルは2月17日、ジャック・マーのアントグループの株式上場が停止された理由について詳細に報じました。その株式保有構造の複雑さと、中共特権階級のグループが投資を行っているとしたこの報道に、中共上層部が不安を抱いています。
ウォール・ストリート・ジャーナルは十数人の中共高官と政府顧問の話として、アントグループの株式上場はもともと数週間前に予定されていたが、アントグループの目論見書によって、その複雑な株式保有構造が隠匿されていたことが、中共のある調査によって分かったと報じました。
アントグループの出資者の多くは「紅二代」と呼ばれる、中国共産革命に参加した幹部の子女で占められており、そこには江沢民の孫の江志成(こう・しせい)が香港で設立した「博裕資本(Boyu Capital )」も含まれていると報じています。博裕資本は最初に上海で子会社を設立し、それから子会社を経由して「北京京管投資中心」に投資し、それからこの会社がプライベートファンドでアントグループに投資していました。
もう一人のアントグループの匿名投資家は、賈慶林(か・けいりん)の義理の息子の李伯潭(り・はくたん)で、李伯潭が管理している「北京昭徳投資公司」が三つの会社に投資し、最終的にアントグループへ投資されていました。
報道によると、ジャック・マーの友人の多くが身元を隠し、第三者のファンドを通じてアントグループに投資し、彼らの一部は身内を通じて間接的に投資を行っています。例えば「万向ホールディングス」の肖風副董事長は、妻の名前で「置付(上海)投資」中心に出資し、それからその会社を通じてアントグループに投資していました。
アントグループの上海と香港での株式上場計画は最終的に、習近平によって中止されることになりました。
米国在住の時事評論家、鄭浩昌(てい・こうしょう)氏は、アントグループの株式上場は大きな脂身の塊で、特権階級がそのおこぼれにあずかろうとして様々な手立てを考えており、その中には政治局常務委員クラスの大物もいると指摘しています。
在米時事評論家、鄭浩昌氏
「これらの紅二代が考えているのは自分の財布の中身のことだ。一方、船頭として習近平が重視しているのは中共という船が、アントグループの株式上場によって金融監督管理に穴があいて、最終的に中共という船が沈没するのではないかという点だ。だから深くまで掘り下げて考えてみると、双方の利益は対立している」
消息筋の話として、習近平はこれら「紅二代」が巨額の利益を上げることで生じる、富裕層と貧困層の二極化によって、自身の貧困支援計画が弱体化することを懸念していると報じられていますが、あるアナリストは別の見方を提示しています。
在米時事評論家、鄭浩昌氏 「これは貧困支援計画と何の関係もない。習近平にとって、貧困支援は彼の在任期間中の業績にすぎない。彼が貧困を解消する必要があるとひとこと言えば、その後は何をどうやってもすべて「貧困は円満解決した」という話になる。これはアントグループの株式上場とは何の関係もない話だ」
アントグループの株式上場が紆余曲折した後、ブルームバーグは1月末に、アントグループの評価額は前年の3200億ドル(約33兆7376億円)から約66%減少して、1080億ドル(約11兆3804億円)まで下がるだろうと発表しています。
転載 NTDTVJP
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