米国の企業が運営する音声SNS「クラブハウス(Clubhouse)」は、中国本土のネットユーザーに世界と意見を交換できるルートを提供したため、すぐに中共当局によって利用禁止にされました。専門家は、中国共産党政権はいかなる手段も惜しまずに情報領域における主導権を確保しようとしていると分析しています。
携帯電話番号を登録するだけで、リアルタイムの交流、話題ごとのチャット交流ができる「クラブハウス(Clubhouse)」は、中国のネットユーザーの間で人気を集めていました。長年にわたってインターネット上におけるファイアウォール(情報検閲システム)やサイバー警察に監視され、外部からの情報を遮断されてきた中国人は、このアプリを通じて、六四天安門事件、香港の抗議デモ、新疆の強制収容所など、中国国内ではタブーとされている民主主義や人権関連の話題について、世界中の人々との情報や意見交換をすることができるようになりました。
しかし、中国本土の言論環境をよく知っているクラブハウスの中国人ユーザーは、同アプリ上での発言が常に当局に監視されるのではないかとの懸念を持っています。
クラブハウスの運営会社であるアルファ・エクスプローション社 ( Alpha Exploration Co.) は米サンフランシスコに拠点を置いています。しかし、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、このアプリのソフトウェアに使われている主要なモジュールは、上海とシリコンバレーに本社を置く中国系企業Agora(アゴラ)社から提供されています。
クラブハウスのユーザーで、香港の情報技術連盟の名誉会長であるフランシス・フォン(方保僑)氏は、同アプリはAgora社のクラウドサービスを利用してデータを保存しているため、データが中国本土に保存されている場合、中共当局はいつでも何らか法律の執行を名目としてユーザー情報にアクセスすることができると指摘しています。
政治時事評論家の顔建発(がん・けんはつ)教授は、Agora社は中国に背景を持っているため、クラブハウス上で自由に発言させ、その発言を証拠として対象者を検挙する「おとり捜査」のための道具ではないかという疑惑も浮上していると述べています。
2月8日、中国本土の一部のユーザーがクラブハウスを使っている途中で強制的にログアウトされ、それ以降アプリにログインするためのSMS認証コードが届かなくなったと述べています。中共当局がすでに同アプリに対してなんらかの措置を行ったと考えられています。
時事評論家の章天亮教授は、中共にとって人民の思想を統制することが統治を維持する鍵であるため、中共はいかなる手段も惜しまず、情報領域での主導権を確保しようとしていると分析しています。
時事評論家 章天亮教授 「現代社会おいては、情報を制する者が人を制する。現代の戦争では、情報戦での優劣・勝敗により大勢が決まる。もし米中両国が対等であれば、中国が米国に情報を送り込む分、米国も中国に送れば、米国は中国を変えることができると思う。人を変え、人の思想を変えることできる。だからこそ、中共は常に情報セキュリティを自身のライフラインだと考えている」
転載NTDTVJP
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