【脱党支援センター2020年8月24日】
「私は実名で中国共産党から脱退します」
中国黒龍江省鶏西市の元副市長、李伝亮さん(56)は8月19日、大紀元のインタビューを受けた際、中国共産党のすべての組織から離脱すると宣言した。李さんは中国国内から米国に亡命し、このほどロサンゼルスに到着した。
中国当局は今年2月14日、李さんの元部下である鶏西市恒山区トップの孔令宝・党委員会書記を、「不当な発言があった」として身柄拘束した。孔氏が中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染拡大について、当局の対応に疑問視し発言し、何者かが当局に通報した。当局は孔氏の職務を解き、自宅と執務室を捜査した。李さんは、自身も孔氏のように、過去の発言で逮捕される可能性があると危惧して亡命を決めた。
李さんは、中国の公認会計士(CPA)や税理士(CTA)などの資格を持ち、長い間、鶏西市財政局で勤務していた。2003年、市財政局局長や党委員会書記、市国有資産監督管理弁公室主任などに任命された。2011年末から2014年春まで、副市長として、市政に携わった。
財務畑が長い李さんは、副市長になってから、市の公共工事などに関係する幹部らの様々な不正行為に目をしたという。「腐敗行為について、上層部に告発したことがある。しかし、汚職官僚への処分は軽すぎる。役人らは互いにかばい合っているからだ。上司に不正行為に協力するようと強要されたこともある。不正に目をつぶれば、さらに昇任のチャンスを与えると言われた」。しかし、李さんはそれに同調しなかった。
中国当局は2014年、李さんを同省鶴崗市の副市長に左遷した。同年以降、李さんは上層部に辞任を申し出続けた。さらに、共産党への党費を納付するのをやめた。2017年、李さんは公職から完全に退け、「やっと自由人になった」という。その後、李さんは企業の税務顧問をしながら、自営業を始めた。
文化大革命時代に逆戻り
李さんは中共ウイルスの発生前、友人らとよく集まり、国内外の時勢、政府の政策や体制内の問題を議論していた。
「ただ、中国当局は今、言論統制を強めており、国民に互いに監視させ、通報や密告を推奨している。特に『天眼工程(顔認識機能を搭載する電子監視システム)』を通して、中国当局は国民への監視を強化している。多くの国民は、真実を言う勇気がなくなった」
李さんは、中国社会が、互いに監視し合い、密告が横行した文化大革命時代へ逆戻りしているのではないかと懸念している。
前出の元部下孔令宝・恒山区党委員会書記について、李さんは「孔さんは、プライベートの集まりで『もう共産党のために必死になって働くのをやめた』と愚痴をこぼしたところ、この発言が録音され、その後密告された」と語った。
李さんによると、今年2月はじめ、中共ウイルスがまん延するなか、中国中央政府が地方政府に対して、各地の感染状況を報告しないよう命令した。
「孔令宝さんは、恒山区のトップとして、地元の石炭会社の従業員が失業したうえ、相次いで中共ウイルスに感染したのを見て、地元の深刻な感染状況を上層部に報告した。しかし、当局は孔さんに対して、『防疫政策に失敗した』と逆に責任を擦り付けた」
「孔さんを密告したのは恒山区政府の幹部であろう。孔さんが失脚すれば、自分が出世できるからだ。これも内部権力闘争の現れだ」
中共ウイルスのまん延で、中国国民全員が「健康碼(健康コード)」というスマートフォン用健康管理アプリをダウンロードさせられた。李さんは、健康コードは「当局が24時間国民を監視する道具だ。大半の中国人はそれに気づいていない」と話した。
元公認会計士である李さんは、「中国当局の統計データを見ないようにしている。情報が不透明の上、データが正確ではない。当局のデータを信じたことがない。でも、中国国内では、勇気を持ってこれを指摘する人がいない」と語った。
「声を上げよう」
李さんは国内にいたとき、中国指導部のメンバーらが、中共ウイルスの予防策として、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキン(Hydroxychloroquine)を服用していると聞いたことがあると述べた。
「私も使おうと思って、いろんな人に聞いた。でも手に入れることができなかった。ほとんどの中国人はこの情報を知らないだろう。中共ウイルスの大流行で、国民の大半が生活苦に陥っており、食べ物を確保するのがやっとだ」
一方、李さんは、中国共産党体制の根本的な問題は、国民生活のためではなく「利益集団のために政策を策定していることにある。政策が現実に合わず、腐敗を招いている」とした。
李さんによると、中国では、政府高官や企業家、あるいは知識層であっても、少しでも良知を持っている人なら、精神的な重圧を負っているはずだという。「なぜなら、中国当局による様々な抑圧、嫌がらせ、孤立などを受ける。それに、自身の身の安全も心配になるからだ」
李さんは、中国当局の高官も、実際に高リスクの仕事に従事している人たちだと嘆いた。
米国に亡命してから、李さんは共産党体制の内部事情について暴露してきた。
「自分が声を上げていれば、より多くの人が声を上げることができる。これこそ、本当に家族や友人を守れる方法だ」
(記者・徐綉恵、翻訳編集・張哲)
転載大紀元 エポックタイムズ・ジャパン