【脱党支援センター2020年8月12日】
中国天津市第2中級人民法院(地裁)は8月11日、収賄・汚職・重婚などの罪で起訴されている国有不良債権処理大手、中国華融資産管理股份有限公司(以下は中国華融)の頼小民・元会長(58)で公判を開いた。当局は、頼氏が約18億元(約276億3700万円)の賄賂を受け取ったとした。収賄額として、これまでの最高額だとみられる。
検察側は、頼被告が2008年から2018年にかけて、中国金融当局である中国銀行業監督管理委員会弁公庁主任、中国華融の会長兼党委員会書記などの職権を利用して、関連金融企業や個人から不正に金品を受け取ったとした。金額に換算すると、総額17億8800万元(約274億5300万円)余りだ。
頼被告は同日の公判で罪を認めた。同氏に対する判決は後日に言い渡される。
中国メディア「財新網」などは、頼被告の収賄額は当局に起訴・収監された汚職官僚の中で最多で、「新記録となった」とした。
財新網は、頼被告には「100件余りの住宅物件を持ち、100人以上の愛人がいる」などと批判した。捜査員が頼被告の自宅から2億7000万元(約41億4600万円)の現金を押収した。これも、腐敗で取り締まられた官僚の中で最高額という。
昨年1月、国営中央テレビ放送(CCTV)は、習近平当局による反腐敗キャンペーンに関するドキュメンタリー番組を放送した。この中で、頼小民被告が当局の摘発を避けるために、贈賄側に現金を渡すよう要求した。受け取った現金を専用の場所に保管した。頼被告らがこの場所を「スーパーマーケット」と呼んでいた。中国当局の発表では、現金のほかに、外国高級車や高級腕時計、絵画、黄金なども受け取った。
江蘇省蘇州市民の潘露さんは11日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して、頼被告の収賄額は、中国最高指導部メンバーとその家族らが受け取った金額と比べて「まだ少ないのではないか」と指摘した。「頼小民被告を摘発したことで、われわれ国民は、中国共産党中央が腐敗を撲滅できると勘違いしてはいけない」との見方を示した。
在米中国人学者の呉祚来氏は、「共産党の支配の下で、腐敗と経済発展は強く結びついている」と指摘した。呉氏によると、地方政府が地元経済を振興していくため、中央政府の役人にアピールし続けなければならない。一部の中央政府の幹部らは地方の役人に金品を要求している。また、一部のでは、中央政府の幹部への贈賄が暗黙のルールになっている。
頼小民氏はCCTVの反腐敗キャンペーン番組で、「私は党委員会書記、会長と法人代表を務めているから、(中国華融の)規律検査委員会書記は、社内党委員会の委員で、私の部下にあたる。だから、実際のところ、彼は私を監督できないのだ」と話し、中国官僚体制が原因で自身が汚職に走ったと示唆した。
呉氏は「中国の党中央から各地までにある規律検査委員会は、党総書記や各省や市などの党委員会書記を監督管理するのではなく、党委員会書記より下級の幹部や党員を監督する組織だ。この体制では必ず、腐敗が生じる」とした。
転載大紀元