【脱党支援センター2020年8月7日】
中共の習近平総書記が最近、中国経済の「内部循環」を強調していることが世論の関心を集めています。評論家は、中国国内の大部分の国民の収入が限定され、購買力が不十分であるため、中共は「内部循環」を経済の解毒剤にしようとしているが、四十年前の閉鎖された鎖国状態に逆戻りさせる可能性があると指摘しています。
7月30日に中共が開催した政治局会議で、習近平主席は中国経済の方向性を決めるため、「内部循環」を中国経済の主体とするよう強調しました。習主席が経済の内部循環に言及するのは、この2か月で3度目になります。中南海が「内部循環」を解毒剤にして、中国経済の苦境を解決しようとしているのではないかとの分析もあります。
欧州天鈞政経シンクタンクの任中道(にん・ちゅうどう)研究員は、これは中共が世界からの制裁に直面し、徐々に孤立状態に追いやられる中で、やむなく提起した庶民を騙す言葉であり、実際には「閉ざされた鎖国」という古いやり方に戻ろうとしているのだと考えています。
欧州天鈞政経シンクタンクの任中道研究員
「本来は1979年から始まっていた。すべての西側諸国は中国に援助し、中国経済の発展をサポートしていた。その結果、中共の数々の悪行によってこうした国々が距離を置くようになった。中共はほかに方法がないので、自分たちは内部循環に頼る、内部の消費者市場に頼ると自画自賛するしかないのだ」
中国の経済学者、段紹訳氏
「重要なのは、今中国は米国、自由社会を敵に回しており、普遍的な価値観を認めていないという点だ。西側の世界は中国がもう一つの北朝鮮に変わることを恐れている。北朝鮮はあんなに小さいのに世界の頭痛の種だ。中国も北朝鮮のようになってしまったら、世界に災いをもたらすだろう。だから中国に制裁を加える」
1988年、当時の趙紫陽総書記が打ち出した沿岸部の経済発展戦略は、生産経営プロセスの両軸、つまり原材料の供給源と製品の販売を主に国際市場に設定し、大規模な輸入と輸出を行って沿岸部の一億から二億人の人口を国際市場に投入し、経済を国内循環から国際循環に拡大するというものでした。
2001年末、クリントン大統領(当時)の支援を受けて、中国はWTOに加盟し、すべての加盟国から与えられた国際貨物、サービス、貿易といった分野での最恵国待遇を享受し、中国経済を急成長させました。
中国の経済学者、段紹訳氏
「中国の過去20年の業績は、共産党が偉大で栄誉があり正確だったからではなく、中国がWTOに加盟したからだ。中国の製品と生産要素が世界的な分業に関与した。だが制裁が始まり、中国に対する制裁が厳しさを増していくと、中国からの輸出は衰退し、中国経済の成長はほぼ不可能になる。だから彼らが内部循環に言及するということは、世界が中国に対し全面的な制裁を行うつもりがあるということを予見しているのだ」
中国の金融専門家、何軍樵(か・ぐんしょう)氏は、中共のいう「内部循環」は、北朝鮮とキューバに学ぶ準備なのだと指摘しています。
中国の金融専門家、何軍樵氏
「各方面から漏れてくる情報によると、あらゆる手を尽くそうとしているのは確実のようだ。西側からの封鎖に直面し、『数年間耐えるだけだ。最悪北朝鮮やキューバに学べばいい』と考えているのだろう」
中国の経済と雇用は輸出に大きく依存しています。国務院の李克強総理は6月28日、「貿易安定」シンポジウムで、貿易を取り巻く環境は依然として厳しく複雑だとして、雇用の安定化を図るため、貿易関係の大企業が問題を解決する手助けをすべきだと述べました。李克強総理は、両会の開催中にも「ドアを閉めて発展させようとしてもうまくいかない」と警告しています。
任中道氏は、「中国は14億もの人口を抱えているが購買力は不十分なため、外需がなければ中国の内部循環が死の循環にもなり得る。加えて経済の停滞により大量の失業が発生し、中共によって起きた貧困に恐れを感じている中国人の購買欲も低下するだろう」と述べています。
欧州天鈞政経シンクタンクの任中道研究員
「庶民は何かを買おうとは思わないし、金を使いたくとも使えない。経済状況は芳しくなく失業にも直面している。また住宅ローンやマイカーローンも抱えて、消費者市場に活気がない。内部循環というが、循環できないだろう」
インターネットに公開されたある動画は、海外からの受注が途絶えた中国企業の状況を伝えています。
動画音声
「2020年5月に海外の疫病の影響で工場が受けていた注文がほとんどすべてキャンセルされた。2020年6月には資金繰りができなくなり、建物や車を抵当に入れ、あちこちから借入している。従業員の給料を支払ったらなにも残らなかった」
李克強総理は5月にも、中国の6億人の月収が1000元しかないと述べています。評論家は、この所得水準では内需に頼って経済問題を克服しようとしてもほぼ不可能だろうと指摘しています。
中共という二番目に大きな経済体が突然「経済の内部循環」への取り組みを発表したため、国際世論は大きく注目しています。AFP通信は7月31日に分析を引用して「中共上層部は経済の内部循環を強調しているが、ほかに打つ手がないから言及しているのだろう。中共は今、デカップリングという苦境に直面しているからだ」と報じています。
中国の著名な金融ブロガーの老蛮さんは、「経済の内部循環」は中国経済を一夜で40年前に逆戻りさせるだろうと指摘しています。
転載新唐人