【脱党支援センター2020年8月4日】
中国のあるネットユーザーが、中国の乳製品メーカー「蒙牛」と「伊利」をはじめとする中国の酪農業の「6大罪状」を投稿したところ警察から恫喝されましたが、数千万人がこのネットユーザーに応援メッセージを投稿しました。この事件がきっかけとなり、中国の毒ミルク問題が再燃しています。
先日、中国のインターネットライター、王小七さんが「蒙牛(もうぎゅう)、伊利(いり)の6大罪状を暴く。メディアが言及しようとしないなら私が話そう」というタイトルで、中国の2大乳業メーカー、蒙牛と伊利の数十年の発展史を明らかにし、彼らをはじめとする乳製品メーカーの売上総利益は70%から80%にも達しているが、脂肪粉末、ホエイパウダー、メラミンといった各種化学物質の牛乳への添加が、各大手乳製品メーカーの暗黙のルールになっていると指摘しました。
文中で王さんは、この二社は利益を上げるため、国が乳製品の製品基準を変更して乳製品の品質要件を下げるよう働きかけたことを明らかにしています。また、これら企業の生産現場は劣悪な衛生状態にあるほか、粉ミルクの価格の引き上げや酪農家からの搾取、消費者保護の軽視などの行為によって、中国の酪農業を「上から下まで徹底的に腐敗させた」と断じています。
この記事が発表されると多くのネットユーザーの注目を集め、蒙牛と伊利がウェイボーの検索結果上位に上りました。その後、この記事は中共乳業協会から激しく批判され、ウィーチャットのアカウントを停止するよう求められました。
王さんはこれに対し「彼らは問題を解決せず、問題を提起した人の口を塞ぐことしか考えていない。このような恥知らずなやり方は2年前とまったく変わっていない」と批判しています。
7月18日、王さんは突然、ウィーチャット公式アカウントに「警察に上海閔行区(びんこうく)の華漕派出所に連行された。弁護士に助けてほしい」とのメッセージを投稿しました。王さんはその日の夜に釈放されましたが、しばらく投稿を控えると明らかにしました。
王さんの投稿はわずか10日間で数千万人ものネットユーザーから支持されました。広州市乳業管理弁公室の職員「王丁棉」さんは、「中国の牛乳は白湯よりも悪い。少なくとも白湯は無毒だからだ」とコメントしています。
中国のベテランジャーナリスト、黄金秋(こう・きんしゅう)さんは、中国の酪農業界に山積(さんせき)する問題は誰もが知っており、政府と警察が批判した人を逮捕するのは、治安を維持するためだろうと指摘しています。
中国のベテランジャーナリスト、黄金秋さん
「蒙牛も伊利も重要な企業で、国営企業だ。中国の製品がよかろうが悪かろうが、少なくとも彼らは経済が崩壊しないことを望んでいる。この人の文章を読んで、彼らは消費者が中国を代表するこうした乳製品メーカーの巨頭に疑いを持つだろうと感じたのだろう」
黄金秋さんは、警察が王さんを連行したのは違法行為だとも指摘します。
中国のベテランジャーナリスト、黄金秋さん
「第一に、一人の国民として彼には合法的に発言する権利がある。二つ目は、消費者として製品について論じる権利がある。この二つの点から、私は王さんが連行されたのは完全に間違っており、言論の自由を侵害する行為だと考えている」
王小七事件は中国の酪農基準の問題を改めて掘り起こしただけでなく、中国の毒ミルク事件にも人々の注目を集めました。
2008年に三鹿乳業集団が粉ミルクにメラミンを添加したため、30万人の赤ちゃんが結石を発症し、この事件によって三鹿集団は倒産しました。
三鹿粉ミルクの被害者の家族、江(こう)さんは、当局が王さんを連行したことから、この毒粉ミルク問題は永遠に収束することはないということが分かると述べています。
三鹿粉ミルクの被害者の母親、江さん
「私の子供に問題が起きた時、私たちがメラミンについて調べていたころ、彼らは私に『メラミンは入れていない。メラミンは1トンいくらするか。タンパク質の含有量を増やすために牛の尿を加えているところもある』と言った。だから私は、この毒粉ミルク問題は永遠に終結することはないと言っている」
江さんは、毒ミルクの根本的な原因はこの邪悪な独裁体制だとして、どんなに卑劣なことでも許される状況にあっては、良心を持ち続けることはできないと語っています。
三鹿粉ミルクの被害者の母親、江さん
「彼(王小七さん)が記した6条は何一つ変わっていない。羊頭を掲げて狗肉を売る。めちゃくちゃなものを添加する。最初に結石のできた赤ちゃんのことも、何一つよい結果は得られなかった。こうしたことは永遠に終わらないということが分かった。邪悪な人間が罰を受けていないからだ」
新浪網は、当時「三鹿粉ミルク」を飲んで頭が巨大化した赤ちゃん、結石のできた赤ちゃんは今どうなっているのだろうかと疑問を投げかけています。
文中には「三鹿粉ミルクを飲んだことで多くの赤ちゃんが腎臓結石と頭蓋骨の巨大化を発症し、この毒ミルクが無数の家族に害を与え、無数の家族を崩壊の危機に直面させたが、三鹿粉ミルクの社長は獄中で減刑されつづけている」と記されています。
三鹿粉ミルクの被害者の母親、江さん
「みんなこの事件を過去のことのように思っているが、私の心には永遠にとげが刺さっている。私は彼らを許すことはできない。彼らのことは永遠に許さない。彼らは全員、絞首刑に処すべきだ。一人の子どもに起きた問題ではなく、何世代にもわたる子どもの問題だからだ」
メラミンは赤ちゃんの体に取り返しのつかないダメージを与えました。三鹿粉ミルクを飲んだ赤ちゃんの頭は今も巨大で、知能の面でも影響を受けており、一生回復することはありません。
当時政府に問題を訴えた被害者の家族は、何の賠償金も得られなかっただけなく、当局から監視や抑圧されることになったほか、投獄されるケールも発生しました。事件の責任者は今も謝罪を行っていません。当時赤ちゃんだった被害者は今も、腎臓結石や尿路結石によって苦しんでいます。
転載新唐人