悪魔を退け、福をもたらす灯籠

電気が発明される前は灯籠が夜の闇の中で人々に明かりを与えていた。科学技術が発達した現代、灯籠は現代人に対してどのような意味をもつのであろうか? 中国人にとって灯籠は今でも、懐かしさと癒しの働きを持ち、そして縁起のいいアイテムなのである。昔、人々は暗闇の中で灯籠に頼り、恐れを払っていたことから、灯籠は悪魔を退け、福と光明をもたらす象徴であると考えられたのである。

福建省の言葉で“灯”の発音は “丁”と近い。灯籠は赤ちゃんが生まれることを願ったり、魔除け、平安を求めることや、名誉を求めたり、などの意味で用いられている。

ある灯籠は “光明灯”と呼ばれている。人々は年末から年始にかけて寺院に光明灯を置き、新年の平安と幸福を祈る。

民間の中では灯籠を主役にした祝日があり、例えば旧暦の正月十五日は元宵節、または提灯節と言う。漢朝の初めから元宵節に提灯を愛でる習慣が始まり、唐の開元の時期には灯籠に花を飾り、国が栄え、人民が平安に暮らすことを祈るようになり、この頃から灯籠に花を飾る習慣が広く流行したと言われている。中国人は元宵節に子供と灯籠に囲まれながら、自分の少年時代の頃を思い出すのである。

元宵節にはにぎやかな灯籠会を催すだけでなく、明かりを空に放つ“天灯”の習慣もある。その由来は諸説あるが、その中の1つの典故によると、昔の人々は匪賊から逃れて四方に逃避した後、無事を確認する信号として明かりを放った。その後、人々が平安に暮らすことを祈る活動に使われるようになった。最近では若い人たちの間でも天灯の人気がある。天灯の上に幸福を祈る言葉を書き、天国に伝えるためにそれを放して、闇夜の空の中をゆっくりと昇っていくのを見上げながら、心の中の無限な希望を託すのである。元宵節の他にも、水灯節、又は中元節という祭りもある。旧暦の七月十五日に水灯を放ち、亡くなった魂を慈悲で済度されますように、という象徴的な意味合いが込められている。

灯籠は祭りを賑やかに飾るだけでなく、寺の建物も飾る。灯籠は厳粛な雰囲気を際立たせ、人に神聖な心を思い出させるのである。

灯籠はにぎやかな雰囲気を作ることもでき、また上品な味わいを添えることもできる。最近では、レストラン、喫茶店などで重要なインテリアのアイテムとして登場し、高級感を醸し出している。

灯籠が人を惹き付けるのは、その優雅で質朴な形だけではなく、独特な照明効果もある。カバーの性質が軽いため、光線がカバーを通して周りに伝わる時、その光は非常にやさしくなる。自然で微妙な変化のある光線は、穏やかでやさしい雰囲気を作り、人をリラックスさせるのである。灯籠のやさしい光の下では想像力も豊かになる。無限の空間と時空を通り抜け、中国文化が一番栄えたという唐の時代にタイムスリップしてみたいものだ。

(轉載大紀元)

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