【脱党支援センター佐藤櫻訳乃木晃編集2020年7月29日】
中国人専門家による二つの分析
北京時間2020年07月25日、米国ヒューストン駐在の中国総領事館は、指定時間内にアメリカから退去するように命じられた。中共当局はその報復のため今週金曜日、成都駐在のアメリカ総領事館に閉鎖命令を出した。上海住在のアメリカ研究家の中国人がメディアのインタビューを受けた際、中国側が成都を選んだ主な理由は、アメリカによるチベット問題への関心を避ける為、また中国との貿易にとって影響が比較的少ないところにある、と述べた。
中共の外務省は7月24日午前、成都におけるアメリカ領事館に対し、設立と業務許可の取り消しを発表した。更にその領事館が行う全ての業務と活動に具体的な停止要求を提出した。これはアメリカが、21日に発表したヒューストンに於ける中共の領事館に向けた72時間以内の閉鎖命令に対する報復に違いないと人々に認識されている。かつて中国当局は、武漢のアメリカ領事館を閉鎖するであろう、と思われていたが実際には成都の領事館を選んだ。そこにはどんな特別な理由があったのか?
上海復旦大學国際問題研究院院長、アメリカ研究センタートップの吳心伯氏がメディアのインタビューに答えた際、中共側には二つの考慮事項があるという。
一つ目は、チベットは成都のアメリカ領事館の管轄下にあり、その領事館は長年チベット問題や西部地域の軍事作戦をとりわけ注視しており、この方面の行動を弱体化させる作用を目論んだゆえの閉鎖ではないかとの見方がある。
二つ目は、中共の立場から見て、上海や広州などの領事館に比べると成都の閉鎖はアメリカとの貿易の面における影響が比較的少ないとの見方である。
資料によれば、成都のアメリカ領事館は四川で初の外国領事館で1985年10月16日開館以来、その領事管轄地域は四川省、雲南省、貴州省、チベット自治区および重慶市が含まれる。現在の総領事は2017年8月に就任のジム・マリナックス氏(Jim Mullinax)である。海外の時事観察官によると、呉心伯氏の分析するようにアメリカ政府は、確かに長期に渡ってチベットや新彊ウイグルの人権問題を注視している。
更に中共に対して不快感を抱いている為、中共にとっては現在報復の良いチャンスが到来したという訳である。しかし、広州や上海のような沿海側の大都市のアメリカ領事館と比べ、成都領事館又は武漢領事館は貿易へのマイナスの影響が少ないという理由で、呉氏の分析と一致すると認識した。観察官は更にこう指摘する。中共のこの程度の算盤勘定等大した影響を与えることは無い。何故ならアメリカ政府のエリート階級(民主党と共和党を含む)は、中共の邪悪な本質を明確に認識しており、トランプ政権は中共を徹底的に潰す決心が堅い。どんな報復であれアメリカ政府による厳しい措置が次々と執られることだろう。
あたかも生と死のゲームが始まったかのようである。