仙人が弟子を探す

あわただしい生活を送る現代人。生活は昔より格段に便利になったのに、時間のスピードは更に増している気がします。私たちを忙しくさせているものの正体は何でしょうか。物欲、快楽、貪欲・・・。これらの心をなくした時、初めて真の自分自身に戻れるのかもしれません。古代の仙人も、欲の少ない人物を探すのに苦労しています。


八仙人の中のひとり、呂洞賓(りょ・どうひん)が修煉を成就し、不老不死の仙人になった時のこと。彼は、貪欲な心のない人間を探し出し、仙術を伝授しようと思った。そこで、彼は老人に化け、湯圓(白玉団子)の売り子になり、「一銭で湯圓ひとつ、二銭で湯圓食べ放題」と書いた看板を置いた。

まもなく大勢の人々が彼の店にやってきたが、誰も一銭だけ払う者がいない。客は皆2銭払い、たらふく食べて去って行く。老人は辛抱強く、一銭だけ払う者を待ち続けた。

日が暮れたころ、ある一人の青年が店にやってきた。彼は一銭だけ払い、湯圓をひとつ口に入れると、すぐに去って行った。老人は嬉しくなって、青年に尋ねた。「なぜ、お前さんは二銭払って、たくさん食べないのかね?」青年は残念そうに、「僕は今、一銭しか手持ちがないのです」と答えた。

老人は、ため息をつくと、元の姿に戻り、空に舞い上がった。貪欲な心のない人物を探すのは難しい。呂洞賓はその後、弟子をとることはなかったという。

(翻訳編集・郭丹丹)

(轉載大紀元)

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