中共肺炎(武漢肺炎、COVID-19)がパンデミックを迎えてから、世界のビジネスパーソンは、グローバル経済による弊害を味わっている。自動車、機械、製薬に至るまで、多くの影響がみられる。
1980年代から始まった経済のグローバル化により、中国は「世界の工場」になり、2001年のWTO加盟により、国際的な中国関係のビジネスも加速した。武漢で中共肺炎が流行すると、中国各地の都市閉鎖で、工場や港湾が閉鎖した。日本や韓国、ドイツの自動車メーカなど多国籍企業は中国製の部品が手に入らなくなり、一時的な生産の停止および減産を余儀なくされた。
米ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、医薬品有効成分(原薬)が中国市場に独占されていることで、ワシントンや欧州では医薬品の供給不足が発生している。2019年7月、米議会の米中経済安全保障審査委員会は、「医薬品の原料の世界市場で、中国の占有率が高まることにより、米国家安全保障上のリスクが高まる」との見解を示した。
同報道は、世界的な衛生保健のもたらしたパンデミックは、グローバル化の弊害を浮き彫りにしたと指摘している。
台湾の中国経済研究院の呉慧林研究員は「グローバル化は一見、専門性が進化して、サプライチェーンが広がり、品質も良くなると考えられた。しかし、実際は悪い方向に進んでいる」と大紀元メディアグループで衛星放送の新唐人テレビの取材に答えた。
呉氏によると、グローバル化が中国への経済依存を生み出すと、産業、人材、資本、技術の国外流出で、国内情勢が悪化した国や地域が増えたという。欧米からの先端技術の喪失や製造業の移民依存だけでなく、かつては産業でにぎわった五大湖周辺も、廃れた地帯「ラストベルト」(さび付いた工業地帯)を生み出した。
サウスカロライナ大学エイキン・ビジネススクールの謝田教授はグローバル化の問題点を複数挙げた。「多くの国が自国の主権と利益を守る能力を失った。そして、中国共産党のような権威主義勢力が、グローバル化の抜け穴を利用して、自国の不公平な慣行を世界に輸出した。またグローバル化は実際には共産主義の一部であり、その邪悪な本質が世界に悲惨な結果をもたらした」と分析した。
謝田教授は、グローバル化は発展途上国を関税などで優遇したが、欧米先進国は「発展途上国」と自称する中国に、利益を明け渡してしまったと述べた。また、中国で紛争が発生した場合、国際裁判機関に訴えるほか、あまり解決手立てがない。多くの国が、自国の主権と利益を失う原因となっているとした。
中国はグローバル化の最大の受益者であり、グローバル化の支持者でもある。欧米や日本の産業が移り、世界第2位の経済大国になった。 米トランプ大統領の就任後、中国共産党政権は、米国を「保護主義的で閉鎖的」だと何度も批判した。
中共ウイルスが流行するなか、官製メディアの人民日報は、経済のグローバル化の機運を高めるようにと努力を呼びかけた。
英エコノミスト紙は、中共ウイルスの流行により、欧米を含む世界中の多くの人々は、中国から感情的に離れていると指摘する。
欧州連合中国商工会議所のジェラルド・K・ホフマン会長は、「すべてのものを最も効率的に生産するという、経済のグローバル化は終わった」と述べた。
転載大紀元(劉惠、王明宇/翻訳編集・佐渡道世)