【脱党支援センター2019年2月25日】
大紀元が情報筋から入手した内部報告書によると、新型肺炎の感染拡大が最も深刻な湖北省ではこのほど、インターネット上で感染状況に関する「不適切」な投稿を取り締まるため、1600人以上のネット監視員を動員したという。
15日付のこの報告書によると、新型肺炎の影響で外出を控える市民が多くいるという背景で、湖北省宣伝部門はインターネットを「主戦場」とした。報告書は世論操作や言論統制を強化する取り組みの成果をまとめた。
「戦時プロパガンダ指揮部」を設立、60万件以上「有害情報」を摘発
報告書によると、湖北省委員会宣伝部は、「戦時プロパガンダ指揮部(対策本部)」を設立し、世論誘導、イデオロギー統制など11の工作チームを立ち上げ、全チームが24時間態勢で、省と中央政府の関連部門と連携を取りながら、「宣伝教育と世論誘導を確保」するよう求めている。
また、1600人以上の監視員によるネット検閲が、「ハイテク技術と人の目視」という2つの検査方法によって、24時間体制で監視を行い、60万6800件の「敏感な話題に関する有害情報」を摘発したという。
2月14日までに、同指揮部から中央網絡安全和信息化委員会弁公室(網信弁)への削除要請が5万4000件余りに達した。また、当局に批判的な投稿に対し、「オンラインでタイムリーにデマを打ち消す」や「オフラインで強烈な打撃を与える」という手法が使われている。警察当局は、ネットで窮状を訴えて助けを求める市民を脅迫し、投稿の削除を求めている。
世論誘導について、湖北省宣伝当局は各マスコミに対し、「一方有難、八方支援(どこかに困難があれば四方八方から支援する)という愛の精神」や「英雄人物、英雄都市」などのテーマで「感動的な話」を書くべきで、「有効にネガティブな世論を打ち出し、ポジティブな宣伝で戦争に臨む」よう求めた。
宣伝当局の指示を受け、「大V(ソーシャルメディアで大きい影響力を持つ人物たち)」がこうしたプロパガンダの「主旋律」を踏む記事やコメントを400件近く掲載し、同時に五毛党らは40万件余りのレビューを書き込んで称賛の声を寄せたという。
こうして言論統制が強まる中、今月初め、新型コロナウイルスの流行について警鐘を鳴らした武漢市中心医院の眼科医、李文亮氏の死をめぐり、ネットユーザーの投稿やコメント、追悼映像が数時間以内に削除された。
武漢市の市民ジャーナリストである方斌氏と北京の弁護士・陳秋実氏は今月、ネットで現地の状況をビデオで発信した後、音信不通になった。関係者によると、公安当局に拘束されている可能性が高いという。
外国メディアの取材を制限、記者を追放
報告書によると、新型肺炎が発生した今年初めに、33の外国通信社から少なくとも60人の記者が武漢入りした。しかし、少なくとも47人は、中国当局の「忠告と説得」によって武漢を離れた。
1月15日、ラジオ局「香港電台(RTHK)」、「商業電台」など香港メディアが、感染者治療の指定病院、武漢市金銀潭医院の付近で取材した際、全員が警察署に連行され、撮影した映像の削除を命じられた。1時間半程度の取調べを受けた後、釈放された。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が中国当局の新型肺炎への対応を批判する記事「中国は真のアジアの病人」を掲載したため、中国政府は19日、同紙の中国駐在記者3人の記者証を取り消し、国外退去処分を下した。
外国メディアへの取り締まりを強化する一方、湖北省宣伝当局は外国語ニュースを発行し、英語、フランス語など7カ国語で官製情報を200件近く掲載したという。
転載 大紀元(翻訳編集・王君宜)