令和元年10月19日, アジア自由民主連帯協議会が、「第9回 アジアの民主化を促進する東京集会」を開催した。現地には中国の共産主義に危機感を覚える多数の日本人が参加し、共産主義の危険性に対して強く警鐘を鳴らした。台湾での逃亡犯条例改正問題に代表されるように、中国と国境を接するアジア諸国では中国共産党に対する危機感はこれまでにないほど高まっている。そしてここ日本でも、共産主義に対する危機感を共有する知識人が集い、世界情勢に関する最新の情報が共有された。世界脱党支援センター日本では、中国の民主活動に詳しい民主中国陣線 王戴氏による現地の生のレポートをお伝えしたい。
私は天安門事件をきっかけに来日し、それから日本にずっと滞在してきました。それから30年が経ちましたが、いまだに私の仲間たちは世界各地で、またそれぞれの場所で活動を続けています。中国で民主化運動が起こったことは何度もありますが、本日は特に香港のデモについてお話ししたいと思います。
天安門事件からちょうど30年が経過した今年、6月9日から香港で「反六法犯条例」の雨傘運動が始まりました。ちょうどその日は、私が四谷のある会議室で、アメリカから反体制派の有名なユーチューバーと知られるある人物を招き、在日中国人に対して講演会を開催したところでした。最後は私の呼びかけで、香港のデモ活動へエールを送りました。日本語で「頑張れ、頑張れ、頑張れ」という言葉を台湾語で言いました。その映像は録画してあるのですが、まさかそれから三か月以上も香港でこういった運動が続くとは誰も予測をしていなかったと思います。
香港で今行われている「自由化と民主を求めるデモ」は、1989年の天安門広場で結集していた仲間たちが行った運動と似ている点があります。ただ、根本的に違うところもあります。それは、当時の天安門広場に集まった若者は、「共産党内部」の改革を求めたという点です。つまり、共産党そのものに反対する立場では無かったのです。あくまでも私たちは「歴史に帰る」ことを求めたのです。
その経験が今、繰り返されているといえます。皆様もご存じのように、香港行政長官であるキャリー・ラム氏は、最初に提案した逃亡者条例を正式に撤回しました。しかし香港の若者達は「5つの要求」を達成するまで運動を続けていく意向です。中国共産党がこれまで行ってきた政策は全て嘘です。また、彼らは約束を守らない政党です。日本の選挙のように投票によって選ばれた政党でもありません。このような政治に対し、最初に立ち上がったのは香港の若者たちでした。これは本当に本当に良いことです。実は香港の人達は、最初は我慢していたのです。しかしここに来て堪忍袋の尾が切れてしまった。これ以上我慢すれば、もう自分たちの未来は無いだろうと悟ったからです。
民主的政治というのは、普通に考えれば、ととても重要でしょう。民主主義は経済成長にとっても重要で、香港が世界経済を牽引する存在になるためにも重要な要因です。人種あるいは民族、思想の心情を超え、ひとり一票を投じるのは本当に素晴らしいことです。なぜなら、みんなが同じ権利を持つ民主的な社会構造によってのみ、イノベーションを作り出すことが可能になるからです。
ご存知のように、2010年から中国の経済規模は日本より上位に位置し、世界第二位になりました。一方でノーベル賞を受賞した人は2人しかいません。そのひとりは劉暁波(ノーベル平和賞)さんです。彼は反体制を訴えてきましたが、事実上毒殺されてしまいました。中国で唯一ノーベル平和賞を受賞した人物が、中国の刑務所の中で最後の日々を送ったのは皮肉というほかありません。
一方、2000年以降、日本はほぼ毎年、自然科学分野で受賞者を出しています。中国人は、何故かネット上で日本と同じような実績を出したいとネット上で騒いでいます。今のような政治では無理なんです。民主的な社会でなければ科学の実績は生まれないでしょう。
今や中国人は、政治に関して無関心になってしまいました。香港デモに関して、中国人からも「あの人達は民主化を求める人たちではない」などという指摘が寄せられています。この会場の中には香港のデモ運動を支持する方がいらっしゃいます。そういった方々はいろいろな場所で香港に援護を送りました。これに対し、在日の中国人学生が日本で行われているデモの現場に駆けつけて、香港人に対して煽っているという状況もみられるようです。しかも、こうした人たちは、中国語で最も汚い言葉を使っているんですよ。これはどう見ても人間社会で育った人間ではありません。結局は、中国の政治体制が全ての原因なのです。今や共産党主義というものは絶滅しかけています。時が経ち、中国は経済力を身に付けて、そして今や、中国は「自力で世界政治を動かそう」と試みている。我々はどうしてもこれに対処しないといけません。
今
今日の会議の前に、ある中国のメディアの人達から取材を受けました。世界のいろいろな国に中国系メディアが存在します。実際に日本には何十社もあります。この中で、唯一中国共産党共産党の指示を受けないのは法輪功の報道関係だけです。私はこのような状況に違和感を覚えます。なぜなら、日本には多数の中国人が移住してきているのに、その人たちが日本の国籍を取っても、心は中国そのもの、共産党そのもの、共産党の代弁者のままでいるからです。
なぜそのような人たちが日本で堂々と生活できるのでしょうか。皆さんは不思議でしょうがないとお思いでしょう。実は、去年の9月から、日本で亡命を申請している仲間がいました。その方は19年間にわたって中国で残酷な弾圧を受けた方でもあります。その方は、日本に入国してから一週間も経たない内に入管に収容されてしまったのですが、病気がちで心臓病などの重たい病気を持っていたにもかかわらず、仮釈放の申請が下りなかったのです。結局その方は中国に帰らざるを得ませんでした。そして今に至るまで消息は不明です。もちろん想像されるのは、その方が逮捕された可能性でしょう。しかし私が指摘したいのは、このような人たちは、民主社会である日本と政治理念が合致しているという点なのです。もちろん反日思想もない方です。今では日本に帰化したり永住権を持っている中国人は大勢いますが、そういう人たちは日本の立場には全く染まっていない訳です。この点が深刻な問題ではなのです。
中国共産党による思想弾圧というのは、社会的な構造となっています。これは中国共産党設立以来ずっと続いている教育でもあります。先日、ある海外の民主活動家は、香港の人に対して「もう目標は達成されたのだから片付けしましょうよ」と言いましたが、目標は達成していないんですよ。5つの要求は満たしてないんです。香港の人達はずっと前から平和、民政、非暴力を唱えていますけれど、これも全く達成されていない。
香港の今に言葉にあるんですが、「光復香港」(中国語)は光を書いて往復の復と書く。要は日本語で言えば「本来追うものは取り戻せ」。もうひとつは「時代革命」。要は今こそが革命なんだ。これを自覚しないといけないのです。
ですから私は、巨大な弾圧、対外侵略を行うような政策を作り出す邪悪な中国共産党に立ち向かうため、皆さんと団結したい。
そして皆さんで手を繋いてその暴力に対して戦いましょう。
以上、ご清聴ありがとうございました。
取材 山田真奈実 編集 首里麗子 白洲一郎