【党文化の解体】第6章(5)

「610弁公室」は法律と政府を超越し、警察、検察、裁判所、国家安全局、メディアなどを全部迫害の凶器として使っている
(イラスト・大紀元)


【大紀元日本12月16日】

2. 典型的な「党八股」用語
 3)宣伝、貫徹(徹底した理解)、執行、呼びかけ(呼集)、労働模範、上級、代表、委員会――厳しい等級を持つ組織構造

 中国共産党が作った社会には、等級の厳しい組織構造が存在している。その組織の中では、「共産党」の意思は最高意思であるために、党の政策に関して討論する必要もないし、討論することもできなくて、中国人にできるのはただ「宣伝」、「貫徹」、「執行」だけで、しかも「理解できる命令はむろん執行すべき、理解できない命令も執行すべき、執行する中で理解を深める」である。優れた文化は自身の魅力のために広く伝わられるが、一方、中国共産党は「人民のために奉仕する」、「国民を基本とする」と名乗るが、民衆のためどころか、打ち出した政策はよくも民衆の利益に背くため、「宣伝」、「呼びかける」ことが不可欠になったのだ。積極的に共産党の「宣伝」、「呼びかけ」に応じて独立の思想を持たない人は「労働模範」、「手本」と称されて、彼らは実にこの等級社会のどん底の「礎石」となっている。中国共産党の「宣伝」と「呼びかけ」は暴力を後援にし、利益をおとりのえさにし、だますことを手段にしているのだ。「貫徹して実行した」のは中国共産党の意思で、成績が出ればまじめに「貫徹して実行した」結果で、錯誤があればまじめに「貫徹して実行して」いなかったか、「党の方針と政策を教条化させた」結果であり、いずれも党の方針は全部「真理」なのである。 

 「単位」の上に「上級単位」があって、「指導者」の上に「上級指導者」があって、最後にずっと「党中央」にまでたどり着くことができる。「中央公文」と「会議の精神」は下のどの等級まで伝達していいか、どの等級が海外の情報に触れる資格を持つか、どの等級にどのような待遇条件を与えるかは、すべて厳しく格付されている。「党中央」は「真理」の化身で、それに「上級」は「下級」よりも「党中央」に近くて、つまり「真理」に近いのだ。そのために「上級」は「下級単位」に行く時に「党の意思」を代表でき、「下級単位」に行くことが「指導」、「視察」、「慰安」となる。「下級単位」は「上級講話」の「精神」を記録して、「上級」に対して「伺う」、「報告」する必要がある。時には互いに「老上級」、「老部下」と呼び合って親しい関係にあるようだが、厳然として彼らの間に等級の違いは常に存在している。それに、「上級」と「部下」の間のきずなは、依然として至高の「党」である。 

 正常な社会では、人々は民意の代表(例えば議員)を選出する形で社会管理に参加して、自分の意見を出している。民衆はいつでも自由に民意の代表と意思疎通ができ、選出された代表はその職責を履行できない場合、民衆は任期満了の前でも代表を罷免することができる。

 しかし、中国共産党の統治下の中国では、誰もが自分の意見を言えるとは限らないばかりか、至高の中国共産党は一筆の元に「我々は人民大衆を代表する」としているが、民衆が中国共産党に「代表」を委ねているわけではない。中国共産党はまず反対意見を公然と表す人たちを「ひとつまみ」と称して、「広大なる人民大衆」の範囲外に排除して、それから自分たちこそ「広大なる人民大衆」を代表していると公言する。中国共産党はかつて「人民を代表して」、人民の中の百万人にも及ぶ財産保有者(「地主」、「富裕農民」、「資本家」)を殺害した。またもや「人民を代表して」、1千万にも及ぶ国民を餓死させた(「大躍進」に起因した「大飢饉」)。中国には飾り物の「人民代表」がいるが、彼らは民衆に選出されたのでなく、その役目も国民を代表するのではなく、中国共産党を代表するにすぎない。手を挙げて共産党の決議を採決して、中国共産党の独占の本質を飾りつけるのは、彼らが存在できる本当の理由だ。 

 様々な「○○委員会」、「○○弁公室」は等級制度の中で直接中国共産党高層の命令を受ける特権機関である。例えば、「政治法律委員会」の職責は聞くところによると、「政治、法律問題に対してマクロ的に指導して調和させる」、「政治、法律の関連諸部門の思想と行動を統一させ、これら部門の行動を正しい政治方向に向かうように確保する」ようだ。もともと、司法、法律執行部門は法律の決まったとおりに行動すればいいのだが、なぜ法律以外にまた「思想を統一させ」、「方向を確保する」のか? 実は、正常な法律行為が「党の利益」と衝突する時に、政治、法律の関連部門が法律原則ではなく、「党性」を堅持するように確保させるのは「政治法律委員会」の本当の職責だ。これと似ているように、「610オフィス」が設立された目的は、法律を凌ぐ超法規的な手段で法輪功の団体を処分することだ。さもなければ公安、検察、裁判所だけがあれば充分なので、「610オフィス」の設立は全然必要がないのだ。また、中国各地の「一人っ子政策委員会」、「一人っ子政策オフィス」は法律を凌いで逮捕、家財を差し押さえる、避妊手術を強行させる、妊婦に流産を強行する権力を持っている。 

「610弁公室」は法律と政府を超越し、警察、検察、裁判所、国家安全局、メディアなどを全部迫害の凶器として使っている
(イラスト・大紀元)

我々は「宣伝」、「貫徹」、「実行」、「呼びかけ」、「労働模範」、「上級」、「代表」、「委員会」など党話の語彙に慣れることは、実際には、中国共産党が作り出した厳しい等級を持つ組織構造を強化させることに等しい。更に、このピラミッド構造の山頂にある「中央」の全社会への統制を都合よくさせたともいえよう。

 (続く)

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